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所長の独り言(税務編)

所長が人知れず考えていることをぶちまけちゃいます! その2

(平成19年7月)
その1
 昨年の7月に言っていた通り、多くの方の住民税が今年2倍以上になりました。この税法の問題は、所得税は今年課税されるのに対し、住民税は今年の所得に対して「来年」課税されるという点です。
 ということは、本来、住民税の増税は来年行われるはずです。これを何を勘違いしたのか、早く税収が欲しいのか、「おかみ」は今年から住民税を増税しちゃいました。所得税が減額されるといっても、自営業者にとっては来年3月15日にしか納税又は還付されません。この時期のズレが問題を大きくしているのだと思います。
 なお、昨年多くの所得があって、今年所得が激減した方は、住民税だけが多額課税され、所得税減税の恩恵がないことから、来年7月頃に過大納付の住民税の還付請求ができるようです。

その2
社会保険事務所の年金記録漏れは大きな問題ですね。
 今回、社会保険事務所の職員が賞与の自主返納をすることになりましたが、税法の専門家である税理士としては、つい別の面から考える癖があります。
 今回の賞与の返納は、国庫への寄付となると思われます。賞与をいったん支給してそれを国へ寄付するのと、賞与を辞退するのとで税法上有利不利の違いが出るのをご存知でしょうか?
1.賞与50万円を辞退する場合・・・給与所得約40万円が加算されない。
2.賞与50万円をもらって、50万円を国に寄付する場合・・・給与所得約40万円が加算されるが、寄付金控除495,000円(50万円−寄付金の足切額5千円)を所得控除し、差し引き95,000円他の所得から控除できるので税金が還付される。
 ということで、一旦受けた賞与の自主返納をするわけです。納得しました?



(平成18年7月)
 今年の税法改正は中小企業の経営者や従業員・更には年金生活者にとってとても厳しいものとなっています。その中で特に従業員や年金生活者にとっての増税のカラクリをお伝えします。
 平成19年に、所得税・住民税の定率減税が完全に廃止されます。つまり、平成17年に比べ、平成19年は約25%増税されます。
 ???20%ではないかって?
 いや、減税前の税額を100としたとき、定率減税が20ですので平成17年は80でした。そのため平成17年に比べると、1.25倍。つまり、25%増加です。ビックリですね。
 これにより、従業員の給与やお年寄りの年金からの源泉徴収税額がとっても増えます。同じ給与で税額が1.25倍にもなったら手取りがグッと減ります。これは年金生活者には大問題です。
 そこで政府はいい方法を考えました。地方への財源移譲を名目に所得税を半額にして、住民税を倍にする方法です。
 課税所得200万円位の方は、平成17年は年間所得税が16万円・住民税が9万円の計約25万円でした。これが、平成19年は所得税率が10%から5%へ減額されまして、200万円×5%=10万円。住民税は税率5%から10%に倍増し、200万円×10%=20万円で計約31万円(均等割込)となります。
 このため、給与や年金から源泉徴収される所得税は1月から少し減ります。
 年金生活者の目をごまかせるでしょう。(あくまで年金からの源泉徴収は所得税だけで住民税は別途納付ですから)
 これで「税金が安くなった!」と思わないで下さい。
 6月から徴収される住民税が倍になり、手取りはかなり減ります。
(年金生活者は別途普通徴収の通知があり、そこでビックリします)
 このことを覚えておいて、平成19年1月から5月まで少し多かった手取りを使い込まず、6月からグッと減る手取金額に充当するようにしてくださいね。




所長が人知れず考えていることをぶちまけちゃいます

(平成18年2月)
以前見たテレビ番組で、感じたことを書いちゃいます。

その1・・・
あるクイズ番組で賞金を寄付すると言ったタレントがいました。750万円を獲得し、1000万円に挑戦する時に、もし次の問題を間違ったら賞金が100万円に減らされるため寄付金額も減る、多くの寄付をしたいからここで降りると言いました。寄付を言ったのは素晴らしいことです。さすがに大物タレントだと思いました。
しかし・・どうしても税金という目で見てしまうと次のようなことがわかります。
まず、最終問題に無謀に挑戦して間違い、100万円に減った賞金を寄付した場合、所得税では一時所得(100万円−50万円)÷2=25万円が加算されます。しかし100万円を寄付するので寄付金控除(100万円−1万円)=99万円が受けられます。よって差し引き74万円の控除額が増え、税率37%の場合、27万円の節税となります。そのため手元に27万円が残ります。
次に獲得した750万円を寄付した場合。所得税で一時所得(750万円−50万円)÷2=350万円が加算されます。しかし、750万円を寄付するので、寄付金控除(750万円−1万円)=749万円が受けられ、差し引き399万円の控除額が増え、同じく税率37%の場合、147万円の節税となります。つまり手元に147万円が残ります。
750万円で止めて寄付することを選んだタレントは、多額の寄付ができて、更に自分にも有利であるという一石二鳥だったというわけです。

その2・・・
占い師や女社長とかがテレビで宝石を身に着けている姿をよく見かけます。普通は数億もの宝石を会社のお金で買うと、社長の私物を会社のお金で買ったとみなされ、税務上「役員賞与」と認定されてしまいます。役員賞与は会社では経費にならず、もらったとみなされた社長本人に多額の所得税がかかります。
しかし、テレビに出て宝石を視聴者に見せると・・・会社の宣伝で使っているという証拠になります。よって個人的に使用していることにならず役員賞与にならないのです。
これだけではありません。買った宝石にかかった多額の消費税を控除・還付してもらうことも可能なのです。100億の宝石なら5億円になります。
こんな効果を占い師や女社長は知っているのでしょう。個人の宝石でないので、当然相続税もかかりません。


(平成17年6月)
 最近の税法改正はあまりにも増税に向いていますね。
 配偶者特別控除と配偶者控除の重複適用が廃止になり、不動産の譲渡損失の損益通算不適用となった昨年に続き、今年は老年者控除50万円の廃止、厚生年金の非課税額の縮減、定率減税の半額化(18年)、国民健康保険の住民税基準から所得基準への変更などなど、本当にきついです。
 来年は(まだ改正未定ですが)定率減税の全額廃止(19年)、所得税の税率区分の変更、もしかしたらサラリーマンの給与所得控除縮減、ゴルフ会員権の譲渡損失損益通算廃止、消費税10%へ?、介護保険料20歳から徴収か?・・・考えないほうがいいみたいです。でもこれはほぼ全国民に増税の痛みを要求するもので、逃れる方法はありません。
 このまま増税が続き、社会保険料も増えてくると、若い世代にもしわ寄せが来ます。ますます少子高齢化が進みそうですね。少子化を食い止めるには、子供を生んだ人を子供を生まない人が負担するという図式が有効と思います。税の負担は公平が原則ですが、あえて子供に関しては不公平でいいでしょう。
 これから子供一人産むつど年間20万円の定額減税を6歳になるまで・・なんてどうでしょうか?まるで住宅借入金控除ですね。
 いや子供は住宅より大切ですのでもっと控除額を増やしてもいいかも。ではまた。