その他のこと2

所長の独り言(経営編)

普段顧問先の社長に伝えたいことをここで言っちゃいます。

(平成17年8月〜19年9月)

 会社を経営するうえで社長の悩みは尽きません。

@会社の売り上げが伸びない、利益が出ない。
A資金不足に陥っている。
B後継者の息子がまだ一人前でない。
C仕事がきつくてもう耐えられない。
D仕事にやる気をなくしている。
E相続対策をどうしようか悩んでいる。
F取引先に怒られてばかりいる。
G従業員が思い通りに動いてくれない。
Hマンションを建築しようかどうか悩んでいる。
Iこれからの時代に大切なことは?
などなど・・・

以下、順に書いていきます。




@売り上げが伸びない、利益が出ない

・・・・100円の商品の原価が70円、粗利益が30円と仮定します。これが売れなくなったとき、値引きを考える社長が多いです。例えば10%値引きして90円で売ろうと考えました。このときどれくらい多くの人が買ってくれたら儲かるでしょうか?
 値引き前は1日10個売れました。つまり1日30円×10個=300円の利益でした。値引き後は1個当たり20円の利益です。よって300円の利益を生むためには15個売らなければなりません。ということは・・・なんと今までの1.5倍売らないと元が取れないことになります。
 (売値を10%下げたら、粗利は3分の2になっています。そのため同じ利益を上げるには1.5倍売らないといけないのです)
 売上高に換算したら、90円×15個=1,350円必要です。今までは1,000円で良かったのに・・ このせいで従業員の勤務時間も増し、光熱費も増し、損が膨らむ結果となりました。
 このことをよく考えてください。季節商品や不良在庫なら早く処分したらいいのですが、少し売れないからといって簡単に値引き販売する社長は損をします。次の原則を忘れないでください。
 売れる相手に、売れるときに、利益率の高いものを、できるだけ多く売ること!
 顧客層を見極め、時期を見極め、利益率に注意し、営業力を集中することです。

A資金不足に陥っている。

・・・資金不足の原因は、売掛金の回収と買掛金の支払いのサイトが合わないことによることが多いです。でも、現実に代金回収を早めたり、支払いを手形に代えることができるでしょうか?取引慣行はそう簡単に変更できないでしょう。
 そこで借入金に頼ることになります。借り入れは銀行にお願いしますが、資金計画がしっかりしないと借り入れできません。
 銀行に認められる資金計画・売り上げ予想・返済計画をたてて、有利な条件で借入れします。税理士と綿密な打ち合わせをし、計画書を作成してもらうのがいい方法です。

B後継者の息子がまだ一人前でない。

・・・息子を一人前と感じないのは何故ですか?息子が信頼できませんか?実際はある程度経験も積んで仕事もできるはずなのに、自分と比較して厳しい見方をしてませんか?
 それは単に、あなたが息子を理解していないだけです。つまり、息子と話をする時間が少ない、からです。何故もっと話し合わないのでしょう?今日あった出来事を親子で時間を作って話ししてください。息子の話を聞いてアドバイスをして下さい。
 あなたが教えないと息子は成長しません。また、息子も会社を仕切ることに不安があるので親のアドバイスはとても嬉しいものです。
 説教ではいけません。教えるのです。そして息子に任せるのではなく、息子に頼るのです。このことはDで詳しく述べたいと思います。

C仕事がきつくてもう耐えられない。

・・・仕事がきついのは、経営者であるあなたが簡単な仕事まで全て自分でこなしているからです。単価の低い仕事は若い従業員にやらせればいい。経営者は時間単価が高いのです。
 あなたは自分の貴重な時間を無駄に過ごしていることに気づかなければいけません。優秀な経営者は時間を大切にします。自分の時間を作るために、従業員を雇います。つまり自分の時間を金で買うのです。
 こうして作った時間を自分の休憩に充てることもいいですし、趣味に充ててもいい。本当に大切な仕事をするために簡単な仕事を若い従業員に任せること。これができないと社長は営業がおろそかになり、体調不良になったりして結局は大きく損します。
 リストラは若い従業員を辞めさせるのではありません。単価の高い、生産性の悪い従業員にお引取りいただくことです。ベテラン従業員に若い人の仕事をさせてはいけません。当然社長もです。何故かはFで述べたいと思います。

D仕事にやる気をなくしている。

・・・・仕事が順調で体力も十分のときは問題ないのですが、歳とともに体力が落ち、気力も落ちてくるものです。
 60歳になると疲れやすくなり、65歳になると更にやる気がなくなります。それを嘆くことはないと思います。みんなそうですから。
 ただ、その時にできるだけ仕事を後継者に引き継ぐことが大切です。仕事の情熱がなくなると、取引先の減少に繋がりかねません。息子に仕事の大半を頼ってください。時にはアドバイスを送り、ゆっくり業務をこなしましょう。
 息子さんはそんな親(社長)を見ても、「しっかり仕事しろよ!」なんて言わないでください。親(社長)が弱くなることを理解し、親(社長)に感謝してください。今まで一心不乱に休まず頑張ってきたことが今の会社の繁栄を支えているのですから・・・

E相続対策をどうしようか悩んでいる。

・・・・相続対策って税理士に任せておけば大丈夫!なんて思っていませんか?確かに顧問税理士がいる場合は大抵「相続税」対策のアドバイスをしているので相続人に多額の相続税がかかることは避けられると思います。
 でも、本当の相続対策とは、「相続税」対策ではなく、「相続(争族)」対策なのです。つまり、相続人どうしで争いがないようにしておくことです。
 二子山親方死去に絡んで花田兄弟が相続争いをしていますが、事前に親方が「遺言書」を書いておけばこんなことにならないはずで、とても残念です。
 後継者にスムーズに財産を渡すために、遺言は大変効果があります。これがないと、相続人の権利は法定相続分発生するので、どれだけ相続人の一人が被相続人を世話していても他の相続人と同じ権利となり、争いの元となります。
 ただ、遺言書があっても一人に全部渡すことはできません。配偶者・親・子などの相続人には遺留分があります。せめて遺留分相当額を事前に(遺言書に記載がない)他の相続人に渡しておく等の配慮があれば、なおいいと思います。
 理想的なのは、まだ元気なうちに相続人を全員呼んで、自分の遺志を直接伝えることができたらいいですね。そういったことも含めて、顧問税理士に相談してみてはいかがですか?

F取引先に怒られてばかりいる。

・・・怒られるにも2種類あります。怒ってしまって取引が終了する場合。もうひとつは、至らないところを直させたいために指導の意味合いで叱る場合。通常前者はほとんどありません。後者の場合が多いです。
 あなたの部下が若くてまだこれからという人材なら、怒られることを良しと思わなければなりません。取引先は今後も引き続いて担当する人にしっかりしてほしいという気持ちがあるために指導しているのです。
 でも、それは担当者が取引先よりも若い場合です。年配の担当者は取引先が不満をもっても叱られません。(年上を叱ることなんて普通はできません) それをそのままにして放っておくと取引先の不満は増幅し、物言わないままに取引が終了します。年配の担当する取引先が何故か理由がわからないまま少しずつ減ってきていれば、若い担当者に変更することも必要でしょう。
 営業の鉄則:ベテランより若手を活用してください。怒られるほどかわいがられているということです。でも度が過ぎると取引終了ですけどね。

G従業員が思い通りに動いてくれない。

・・・従業員が思い通りに動かないのは、どの会社も共通の悩みです。昔の従業員は残業もいとわず、会社のために一生懸命働きました。でも、今は違います。
 労働基準法が厳格になり、サービス残業はもってのほか、経費節減・リストラの影響で従業員を一人前に育てるための研修をさせる時間や費用が足りません。そのため企業は経験のない新卒者や無職を採用することを控え、即戦力ばかり採用するため、さらに従業員の優劣の差が激しくなっています。
 経営者としては従業員が一人前に程遠い場合、まず、昔の自分と違うことを理解し、自分と比較して考えることをやめること。早急にこいつはだめだとさじを投げるのではなく、研修をしっかり行うこと。これを実践してください。
 部下である従業員は経営者より経験・能力とも、当然力不足です。それを文句を言っても仕方ありません。その従業員にとって今の状態が精一杯だからです。経営者としてできる限り指導し、その従業員の限界を引き上げてやる気持ちが大切なのです。その後、何年たっても経営者の期待に添えない従業員の場合、それに見合う給与に減額すればいいでしょう。

Hマンションを建築するかどうか悩んでいる。

 最近京都は地価が高騰しています。マンション需要は伸びつつあり、賃貸マンションを建築する動きも出ています。しかし、マンション建築をデベロッパーが主体となるのではなく、一般人が施主として建築する場合、その事業には多くの危険が潜んでいます。
 まず、マンションの建築費の借入金返済を考えていない。税理士が主体となって資金計画を立てないと、資金が逼迫して破産の危険性もあります。銀行・信用金庫などの金融機関と事前に綿密に打ち合わせをして、その事業が採算に合うかどうか検証する必要があります。
 次にマンションの建築費の妥当額がわからない。つまり、建設会社が主体となってマンション計画を推し進めると、かなり高額な建築でもそれが高額かどうか判断する力が施主にはありません。そのため1級建築士を施主又は税理士が選定し、その建築計画に基づき構造計算したもので建築価格の妥当額を算定することが大切です。その価格で建築できると手を挙げた建設会社に建築をさせるのが最も資金的に施主には満足でき、更に、1級建築士が建設会社と分離しているため、構造設計のやり直し(建築費の削減を行うこと)を制止させることができます。
もちろん、耐震偽造や手抜き工事もできません。真に施主のためになる計画には、信頼できる1級建築士や不動産アドバイザーの存在が欠かせないといえるでしょう。
 借入と採算、そしてデザイン、この3つを併せ持って更にその場所で成功できるかどうか税理士と綿密に相談して決める必要があるでしょう。

Iこれからの時代に大切なことは?

平成19年9月・・・・その1

これからの時代、会社の経営で大切なことを書きます。
まず、これからは「人脈」と「信用」の時代だということです。
なぜこんなに毎日社会で詐欺や事件が多いのか、多くの方はわかっています。
嘘ばかりだからです。政治家も嘘まみれの政治資金収支報告書を平気で提出して脱税していますし、絶対儲かるなどと言って投資話を持ちかけて大損する人、架空請求に引っかかって大金を騙し取られる人が一杯います。
そのため、まともな人は、どこの馬の骨かわからない飛び込み営業マンは信用しません。もう飛び込み営業の時代は終わりました。銀行の融資、コピー機・通信機器販売や保険の営業も飛込みでは契約に至る可能性が低いです。
信用できる人からの信用ある情報だけが頼りです。そのためその信用を与えてくれる人を作る必要があります。つまり、「人脈」と「信用」です。
税理士はその職務上、顧問先と永年の付き合いがあり、またその財務状態を把握していますので、紹介相手に不利な方を紹介しません。「信用」は、あると確信します。また税理士は人脈も豊富です。ほぼあらゆる相談に答える人脈を持っています。税理士は顧問先を裏切ることはしませんので、安心して相談してして下さってよいと思います。(ただし、一般消費者の相談には乗れないのが実情です。あくまで、顧問先優先で仕事をするのが税理士ですから・・・)